「共謀罪」法案に反対し、廃案を求める キリスト者有志の声明 私たちは、今般の「組織的犯罪処罰法」改正案(いわゆる「共謀罪」法案)に反対し、廃案を求めます。 この法の問題点について次のとおり指摘が相次いでいます。第一に、政府はこの法案が成立しなければ「テロ対策」を目的とする TOC 条約(組織犯罪防止条約)を批准することができないと説明していますが、 TOC 条約はテロ対策の条約ではないうえ、新たに共謀罪を創設しなくても TOC 条約を批准することは可能であることが国際法の専門家らの指摘により明らかになりました。つまり、政府の説明は誤っているということです。政府が国民の代表者である国会議員に対し誤った説明をしつつ刑事処罰の法律を成立させるということは、民主主義のルールに反しています。 第二に、政府はこの法案について「組織的犯罪集団」による対象となる犯罪の「計画」「準備行為」がなければ処罰できないのだから問題はないのだ、と説明しますが、何ら犯罪行為が行われていなくても処罰を許すものであることから、処罰範囲がいくらでも広がりかねないということです。今の法律のもとでは、実際に犯罪を実行して初めて処罰されるのが原則ですから、「何が犯罪で何が犯罪でないか」がそれなりにはっきりしています。しかし、「共謀罪」が導入されれば、何も「悪いこと」を実行していなくても処罰されてしまいます。政府は対象となる犯罪の「計画」と「準備行為」がないと処罰できないから問題ないと説明していますが、言葉に依拠する「計画」自体を犯罪にすると、悪意ある密告や潜入捜査員の報告で「犯罪の共謀」があったとされ、預金の引き出しが「犯罪資金の調達」、散歩が「犯行の下見」とみなされ処罰されるなど、処罰される範囲に客観的歯止めをかけるのが極めて難しいのです。そのため、どんな人たちのどんな言動や行動が処罰の対象になるのか明らかではなく、市民は何が処罰されるかどうかわからないので、怖くて自由に話し行動することはできなくなってしまいます。 第三に、他人に全く危害を与えていない、処罰しなくてもよいことを処罰してしまうことになり、刑法の行為処罰の原則に反するということです。これは長い歴史を持つ刑事法の基本原則を覆すものです。 第四に、「共謀罪」は犯罪が実行されていなくても、「共謀」という目に見え